ダルビッシュとマネーボール

ダルビッシュを最初見たのは
2005年宮崎で行われたフレッシュオールスターだった
長身から投げ下ろす速球は伸びが素晴らしく
限りない可能性を秘めた投手だと感じたことを覚えている
 
さて今や日本一の投手となった
ダルビッシュのテキサス・レンジャーズ入りが決定した
GMのジョン・ダニエルズは
レンジャーズにとって歴史的な日になったと発言
奪三振王と呼ばれたノーラン・ライアン球団社長は
ダルビッシュは投手として理想的な体、才能が高く明るい未来があると絶賛した
しかし交渉はぎりぎりまで緊迫した状況だった
契約成立は期限の3分前という瀬戸際だった
 
メジャーの野球はハードネゴのタフなビジネス
そんな現実を感じながらある映画のことが頭によぎった
 
マネーボール
プロデューサーで主演はブラッド・ピット
オークランド・アスレチックスを勝てる球団にした
GM ビリー・ビーンの半生を
マイケルルイスが描いたノンフィクション小説が原作
 
ビリー・ビーンの確立した野球とは
試合のヒットより数字の連打で勝利を狙う野球だ
 
選手だったアスレチックスのGMビリー・ビーンは
資金不足で選手獲得にお金を使えない大きな悩みを抱えていた
アイビーリーグ出身のピーターに
数字重視の考え方にひらめきを感じ、認め球団にスカウトする
そしてデータ重視で選手獲得に乗り出していく
つまり統計学的手法でチームを強化していったのだ
 
監督やスカウトは猛反対
それでも打点や本塁打ではなく、
出塁率や長打率の高さで選手を選び低コストの
一見寄せ集めとも見えるチーム編成をやっていく
 
最初は連戦連敗
監督やスカウトもそれ見たことかと大反発
しかしその理論が次第にチームを上昇させていく
 
GMをプロデューサーと考えてみるとビジネスでも大変共通点がある
野球は球場だけではなく、場外でも電話で
トレードを仕掛けるシリアスでリアルな戦場の状況も見物である
選手をどう商品として高く出し、安く拾っていくか?
金のないオーナーをどう説得して金を出させるか?
監督、スカウトにトレードをどう納得させるか、
そして監督に選手起用をどう説得するか?
 
セイバーメトリクスという理論の成果はメジャーリーグ史上
かってない20連勝記録という形で昇華していく
そして2002年レッドソックスから彼に示された移籍料はアメリカスポーツ史上に残る
1250万ドルの5年契約という最大の移籍料だった
 
ビリー・ビーンの確立した野球理論のベースには
選手としてあれだけ期待されながら活躍できなかったのは
スカウトのほうにも問題がなかったのかという考えもあるような気がする
ある意味でビリー・ビーンにとっては
野球に対するリベンジだったのかもしれない
現在、マーケティング的発想を取り入れ成功したこのマネーボール理論は
アメリカで多くのチームに取り入れられている
 
ダルビッシュの数字は統計学的にも大変高い
脱三振、防御率とも圧倒的なのだが
投手の真の価値と言われるのがWHIPとDIPSだ
WHIPは被安打数と与四球を投球回数で割ったもの
ダルビッシュは2011年はエースの条件と言われる1を大きく上回り0.83
そしてDIPS(投手が自分でコントロールできる三振、四球、ホームランだけで算出した数字)
2011年にはほかの投手を大きく上回り驚異の1.58の凄さ
 
まさしくセイバーメトリクスの判断でも文句なし
そして数字だけではなく
自ら会いに行き、契約を後押ししたのが
同じ投手出身のノーラン・ライアン球団社長だった
 
最近、日本の選手のメジャーでの活躍が不調なだけに
ダルビッシュへの期待は日米ともに大きいものがある
エース ウィルソンの抜けた穴を埋め
ワールドシリーズ優勝の夢を
レンジャースのマネーボールの成果として
投手出身のライアン社長と投手ダルビッシュの二人三脚で
ぜひつかんでもらいたいものだ