感動、癒し、喜び

何者

朝井リョウが自分自身の就活の実体験を元に書いた
『何者』が
第147回直木賞を受賞した
平成生まれの23歳
史上最年少の受賞者となった
 
早稲田大学の現役時代の2009年に
『桐島 部活やめるってよ』 で第22回小説すばる新人賞を受賞
この小説がベストセラーになり
現役大学生小説家として一躍有名になる
 
そして今回
大学生を主人公に自分の就活の実体験を元に
ネットやツイッターなども使用して新鮮で新しい
現代をきちんと描いている小説を完成させた
 
一人一人の孤独がみずみずしい輝きを持っていると
特に選考者の北方謙三が一押ししたが
選考会では孤立無援の状態だったと・・・・・
 
伊集院静氏はこの小説は表現力は新しい力がある
彼の描く世界は素晴らしいが小説の軸が見えてこない
ただ小説のエネルギーはマグマの芯を見据えることだと思うのだが・・・・
 
渡辺淳一氏は今回の応募作に対して厳しい意見
全体として芯の通った作品に欠け受賞作なしが妥当だと考えたが・・・・
ただ一人の選考委員の表明により
2作受賞ということになった
表現したいと思うほどの自己体験を保持していないのではないか
本質的に作家として書くものを持たず
表面だけ作家的作業をしていることかと手厳しい評価
 
『何者』に対しては
表現力の新しさや輝きは皆が一致しているところだが
若いだけに軽さと弱さが同居しているともいえるのかもしれない
しかし若者の心の揺れの生々しさ
そして一気に読ませる終盤の展開力の見事さは
素晴らしいものだし、
今からの小説が彼の実体験と共に
作品として仕上がっていく興味も膨らんでいく
ネット世代として生まれた若者たちのオピニオンリーダー的な作家になれる可能性も大きい
 
サラリーマン小説家として第一歩を踏み出した朝井リョウ
彼の受賞インタビューの一言が耳に残っている
この受賞で
小説を書くことにしがみついていけるのかもしれない
 
世界も日本も激変の時代である
そんな2013年に直木賞は最年少の受賞
芥川賞は最年長の受賞となった
時代の変わり目を2つの賞はじっと見ているのかもしれない