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村上海賊の娘(和田竜)

2014本屋大賞を受賞した村上海賊の娘を読んだ
上下巻で900ページを超す大作
 
和田さんは4年の月日をかけて書き上げた
週刊新潮に2012年5月から2013年3月まで連載され
2013年11月に出版された本だ
 
織田信長が室町時代最後の将軍 足利尊氏を奉じて京都に旗を立て
西に勢力を伸ばさんとしていたころ
1576年比叡山焼き討ちから5年
信長と大阪本願寺の戦いは7年目を迎えていたころ
毛利は村上水軍とともに大阪本能寺の味方となり
信長の泉州海賊と闘うことになる
歴史的に見ても村上海賊が一番輝いていた時代の
木津川合戦を描いている
 
主人公の景(きょう)は実在の人物だがかなり妄想が入っているよう
史上最強のブスだがイケメン好きな村上海賊の娘
景の登場には展開の期待感を感じてしまう
最強の精神力と戦闘能力を持つ景だが
その他のマイナスキャラがとても人間味にあふれていて魅力的に描かれている
 
村上海賊の村上武吉の
『娘を甘やかすこと以外何ができる!』 の言葉がとても強烈だ
 
何らかの強い組織というのは
1人の強力な人間がいると言うのを常々感じていると作者
その1人を女性の主人公にして妄想を入れて書き上げたのがこの本だ
 
今の時代
女性の方が元気だと感じているのは私だけではないだろう
女性の荒々しい部分をクローズアップすることで
今を生きる女性たちにとってのエールみたいな本にも仕上がっている
 
圧巻なのはバトルシーンの面白さ
合戦シーンのカットカットごとに主人公が入れ替わる
その人間の圧倒的で細かな描写
それが全体を深く重層的なものにしている
ほぼ本編の半分ほどが合戦シーンの描写となっている
 
感想だがマンガだとまだ面白いのではないか!
そんなわかりやすいエンターテイメント性も感じてしまう
ただ個人的には昨年の『海賊と呼ばれた男』の方が好きだ
 
瀬戸内海で育った和田さんにとって
村上水軍はまさにその舞台だったところ
ふるさとに対する何らかの恩返しになればと・・・・
 
5月16日 村上海賊の娘 は上下巻合わせて100万部を突破した