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隠岐島前高校魅力化プロジェクト

島根県の北の方向50キロメーターの隠岐諸島に島前(とうぜん)高校がある
この高校は昭和33年、国への働きかけを通じて
特例を受け、全国で始めて全日制分校となった高校だ
 
しかしこの島も少子高齢化の影響を受け
かって人口が7000人いた町も現在では2400人
生徒数も激減、各学年一クラスとなっていた
2008年入学する生徒数が28人と急減し30人を切った
中学生の55%は島外の高校へ進学した
島で子供を育てると大学進学に不利という考え方が根強く
大学進学を希望する島の生徒の多くは、
島を離れ本土に出て行く傾向があった
今後、島の生徒数が減っていく中で
これ以上島外の高校への流出率が高まれば
県の高校統廃合の基準である入学者数21人を切る可能性も出てきていた
 
そんな地域の危機感の元で
2008年3つの島の町村と議会、校長、PTA,OB含めて
何度も話し合いが持たれ
隠岐島前(どうぜん)高校魅力化構想が出来上がった
 
その実現に向かって2009年に打ち出されたのが
隠岐島前高校魅力化プロジェクトだ
 
地元のアンケートとヒアリングの結果
島の子供や保護者の不安が浮き彫りになった
刺激や競争がない
多様な価値観との出会いがない
新しい人間関係をつくる機会がない
 
これらを解決させるために考え出したものが島留学の制度だ
今まで高校にあった寮を活用して
本土の若者に島留学を勧め
村外の留学生が島の人たちとともに町に活性化と刺激を生むシステムだ
 
しかしスタートの説明会はさんさんたる結果
大阪の説明会には数人の参加という寂しさだった
関係者は高校の未来に不安を感じたという
 
しかし特色ある制度とユニークな教育が少しずつ実を結んでいく
この高校には進学コースと地域創造コースという
ユニークなコースがある
地域創造コースは1人1人のニーズに合わせた職場体験や
地域に根ざす人材を育てる地元学
総合力を高める課題解決型学習
地域資源や人材を生かした実習などで
グローカルな人材を育成していくことが目標
 
2009年は第一回観光甲子園が大阪で開かれ
島前高校の生徒もこれに挑戦した
地元ならではの観光プランを作成し競うあうもの
地元の生徒は島の資源は当たり前のことばかりで
切り口が見つけ出せずに悩んでいた
島留学できた村外の生徒が入ったことで次々と島にスポットライトを当ててくれた
異なる視点からの気づきは
島の生徒たちの地元の魅力の再発見につながった
そうした島留学生との相互作用で行き着いたところは
この島の一番の魅力は人だ
彼らは人を観光資源として捕らえ
島の人間力にあふれる人たちと出会い、交流し、
人とのつながりをお土産に持って帰る観光プラン
 ヒトツナギ~人の出会いから始まる君だけの島前三島物語~ ができあがった
 
プレゼンテーションは
島の良さに気づかない地元の高校生と引きこもりがちな都会の高校生が
畜産農家での手伝いを通して隠岐のこと、島の人が好きになり
互いに無二の親友として認め合うドラマ仕立てのもの
審査委員長は魂のこもったプレゼンでありプランだったと評価し
グランプリを受賞した
 
その後ヒトツナギは実際の旅の企画となり
地域の人を巻き込んで全国から参加者も集め、このツアーを実現させている
 
2012年には異例の学級増
2013年には45人が入学、村外からの生徒は22人となった
 
日本の大都会にいなくても
地元で自分らしい勉強や生き方が体験できる
生徒一人一人の夢の実現
地域の未来をつくる人材の育成
持続可能な魅力の三つがテーマの島前高校
本気で頑張る人には本気でステージを与える
隠岐島前高校魅力化プロジェクトの成果は地方の様々な可能性を秘めている