ブナコ

青森県が日本一を誇るものは?
と言われて思いつくものは何だろうか・・・・
リンゴ、にんにく、長いも、ゴボウ、イカ
これらも日本一だが
実は森林資源のブナ材も資源量日本一なのだ
ブナは欧米では森の聖母とも呼ばれている
しかしブナは使い道が少なく今までは薪や炭しか用途がなかった
 
この地域資源のブナ材を有効活用した元気な企業がある
青森県弘前市にあるブナコ漆器製造だ
90年代有名百貨店の食器用漆器を中心に製造販売を行っていた
1996年ごろから急激に業績が厳しくなる
百貨店はネット販売、郊外店舗などに顧客を奪われ
主力のデパートの記念品の受注もどんどん減少していった
 
社長の倉田昌直さんは
このままでは未来はない
2001年の頃にはあと3年すれば確実に赤字と言う
切羽詰まった状態になっていた
なかなかいいアイデアが浮かばない
弱気になり弟の前で
『もうだめだ!!』 とつぶやいた
弟は 思いがけない言葉で叱咤激励する
『 兄貴の限界は兄貴の心の中にあるんじゃないか? 』
この言葉にハッとする
自分でいつの間にか心の中に限界を作っていたことに気づいたのだ
 
そして2000年に注文を受けたある照明器具のことを
思い出す
ブナ材を使ったバームクーヘンのような木目が鮮やかで
しかも綺麗な曲線・・・・・
これならやれるかもしれない
と考えた
2002年会社の生き残りをかけた挑戦をはじめる
売り上げの75%を占める食器からの脱却を目標に
新しいインテリア商品の開発を始めたのである
 
ブナ材をわずか1mmという薄さでテープ状にかつらむきのようにカットしていく
そして1㎝のテープ状にしたブナを何層にもぐるぐる巻きにしていく
そこに湯呑茶椀を押し当て滑らかな曲線を創り出していく
硬すぎても緩くてもいけない
巻具合の程よい加減が大事なのだ
職人さんでもこの作業を会得するだけで2年間はかかるのだそうだ
 
しかしこの独自の方法だと木材の無駄が出ない
木を削って作る製法に比べ材料は10分の1で済むそうだ
環境にも優しいエコロジーの工法なのだ
 
これで作った商品は努力も実り
徐々に口コミで広がっていく
2003年にオープンした六本木ヒルズのとらやカフェで照明と食器が採用され
2004~2005年表参道や自由が丘のショップに並ぶようになり
インテリア雑誌でも紹介され 『 ブナコ 』 のブランドは
全国に知られることになる
2006年にはインテリア用の売り上げが食器用を追い越した
そして2008年北海道で行われた洞爺湖サミットでは
各国首脳ご夫妻のお土産としてブナコのトレイが採用されたのである
2011年にはブナコの音響機器 Faggio が発売され
生まれたままの音と優しいデザイン性も話題となっている
津軽弁は最後に『 こ 』をつける
ブナコ
ブナを愛おしく感じる名前だ
地域資源を活用して会社を活性化させ
日本の地方からオンリーワンの独自技術で世界を目指す
その試みこそが、とても自然で豊かな可能性を秘めている