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ドンペリと木桶

京都の中川木工芸の中川周士さんは木桶のクーラーを開発し、
それがドンペリの公式ワインクーラーとして認定された
 
材料となる木材は高野槙(こうやまき)といわれ、
現在市場には年間10本ほどしか出てこない稀少なもの
高野槙は水に強く朽ちにくいため古くから風呂の湯船などに
用いられてきた
中川さんは200種類にも及ぶかんなを使用しながら竹釘なども使い
微妙な楕円形の木製クーラーを完成させた
一年がかりの作業で2度ほどあきらめかけた難事業だった
まさに『木を読む』事業だったようだ
 
先日ドンペリの醸造最高責任者 リシャール・ジェブロワ氏が
ここを訪れ
『 しなやかで力強い形は感動的だ この技を世界に知らしめたい 』 と話したという
 
実際使用してみると水滴も付かず底も濡れる事が無く大好評だそうだ
しかも長期間使用できるのもうれしい
金額は8万8千円だそうだ
 
本来、木と長くかかわってきたのは日本酒のほうだ
木製クーラーの発想もまず日本酒に欲しかった
その意味で先を越されたのは寂しい
 
大平総理のときに日本酒を国酒 と書かれたのがはじめだが
それ以来歴代総理は日本酒を国酒と書く慣わしとなっている
残念ながら日本酒は日本の酒類の7%(2007)のシェアしかない
フランスのワインの54%(2003) 
ドイツのビールの80%(2003)からすると
日本の国酒とは名ばかりの低い数字だ
日本酒の生産高は、最盛期の昭和48年の981万石から
平成19年には376万石にまで落ち込んだ
 
ただ日本酒の落ち込みや焼酎ブーム、消費志向の変化などが
逆転の発想となり、
しっかりした考えで良い酒を作る蔵元が徐々に増えてきて
日本酒全体の品質がぐっと向上してきたことも事実である
そして日本だけではなく世界に日本酒を発信、流通させる試みも
IWCの酒部門の設立などをはじめ確実に実を結んできた
ニューヨークでは日本酒が大好評
外国からの研修者が特に多くなったという蔵元も多くなった
 
ドンペリには先を越されたが
日本酒と木桶クーラーの取合わせこそ、日本の食&伝統文化の発信だ
今後日本酒と様々な伝統文化のコラボレーションを展開することで
日本食と酒文化を含めてトータルの日本文化を世界に発信していきたい
ものである
そして世界に冠たる日本酒の存在を示し浸透させていきたいものだ