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西洋の敗北(エマニエル・トッド)

トランプ大統領の就任が迫ってきた

彼の「アメリカファースト」を逆に見てみると

それだけアメリカが厳しい状況にあると認識すべきだろう

さてその中で世界を代表する歴史学者でもある、

エマニエル・ドット氏が

2024年に書いた本「西洋の敗北」が世界中で売れている

本の重要なポイントは三つ

  1. ウクライナVSロシアの戦争

一番驚くのは西側メディアが一方的に流しているウクライナ戦争を

「ロシアが勝利する」と断言していることだ

ウクライナ戦争の初期段階で西側諸国はロシアをSWIFTから排除し

ロシアを孤立化させる戦略を取った

ロシアは天然資源を通じて、中国、インド、等と連携し

対露制裁で西側諸国との競合から解放され、耐久力を付けた。

そしてその国々は団結力を強め脱ドル化と人民元化を加速度的に広げていき

それが引いてはブーメランのように米国側にダメージを与え

ドルの弱体化につながっている

特に2024年の経済成長はロシアは3.6%と米国やEUをも上回る

対ロ制裁の誤算はグローバル化で西側の産業力が衰えたことに起因する

特に米国では深刻になっている

  1. 資本主義と民主主義の矛盾、そしてアメリカの衰退

資本主義はパイの成長を目指し、少数の強者が多くの利益を独占し、

経済的格差を生み出していく

民主主義はパイの分配だ。弱者にも優しく全てはが平等である

経済では資本主事、政治では民主主義

相容れない2つの矛盾を抱えながらも資本主義と民主主義は進んできた

しかしこの二人三脚がもつれてきている

資本主義は加速し、格差が拡大し、民主主義は重症のように思える

そして西側諸国のグローバリズムを推進してきたリベラル派の退潮は

西側の指導力低下を意味し、その国内では極右の保守党勢力が

台頭している現実が不安に輪をかける

GDPから見ると米国の国力の衰えが如実に表れる

すでにプロテスタンティズムが消滅し、道徳と知性が崩壊している

西側諸国のトランスジェンダーや行き過ぎた環境保護主義は

すでに世界の多くの国の価値観からかけ離れている

このように世界で指導的役割を担っていた西洋のもろさが現れ

西洋の凋落は進んでいく

米国は政権交代ごとに方針を変え、調停者の信頼が失墜している

対米自立を失った欧州

戦争自体が存在理由となったウクライナ

国家崩壊の先頭を行く英国

ロシアの勝利を願うその他の国々

そして知性もモラルも欠いた学歴だけのギャングが軍事を司り

ドルだけを生産する国、米国

ホワイトハウスが出した最新予算を見ると

米国の利払い費用はGDPの3,8%

国防費はGDPの3%以下と減少する

著名なイギリスの歴史学者でありジャーナリストでもある

ニーアル・ファーガソン氏は

「大国において負債の利払いが国防費を上回る時、もうその国は長く持たない」と言っている

  1. そして日本は・・・・

日本は戦争後、米国によって西洋に組み込まれた

西洋並みの生活水準や技術力を持つが、世界からは

西洋とは違う存在だとみなされている

日本には産業国としての伝統がまだ残っている

安全保障では中国の台頭と米国依存を考えるべき時が来ている

核兵器保有による自営が選択肢になると著者は書いている

エマニエル・トッドが描いた西洋の敗北を

私も肌で感じるようになってきている

経済の資本主義と政治の民主主義の矛盾の中

衰退していく米国を見れば、米国依存から

独自政策を掲げる日本に生まれ変わる時なのだろうが

米国と中国の両国をバランスよく対話しアジアの指導国へ

核保有などを含めての安全保障政策のドラスティックな転換など

現実的な日本の処方箋は、残念ながら今の日本には無理と思われる

ただエマニエル・トッドという

世界を代表する知性の現実的な日本への指摘は決して見逃すべきではない