ユーロ圏の憂鬱
ギリシャのツィプラス首相が
6月30日が期限だったIMFの17億ドルの返済ができないことを表明した
先進国で初めてIMFに返済できない事例が起こったことになる
しかしこれはデフォルトではない
IMFはギリシャを滞納国として対応していく
さて世界の注目はギリシャの7月5日の国民投票に集まっている
緊縮策に反対か賛成か?
どうもマスコミの論調を見てみると
反対だとユーロ離脱
賛成だとユーロ残留、現政権は辞任して総選挙
のどちらかに分かれているようだが
事はそう簡単ではないように思える
しかもツィプラス首相は水面下でプーチン首相とも連携している
特にEUへのエネルギーの一本しかない供給ルートであるウクライナルート
とは別にトルコ・ギリシャルートを建設する調印を6月19日にロシアで行っている
これもユーロ圏を揺さぶる大きな要因である
ツィプラス首相は国民投票で緊縮策にノーを突きつけ
ユーロ圏にとどまりつづける形を考えているように思える
理由は3つだ
1)ギリシャ国民の多くがユーロ残留を望んでおり
EU統合やユーロを定めている条項には
加盟国が離脱するときの規定がないのが現状だ
また、もし離脱したいと言ってもEU側が離脱にシステムを作り上げるまで
長期間必要になるといわれている
2)ギリシャの借金は以前のギリシャ危機での債務カットで民間はほとんどなくなり
今の債務の大部分はIMF,ECB,EU各国などへのもので
経済問題より政治問題といっても良い
3)強制的なユーロ離脱の可能性は?
ギリシャをユーロ圏から追放しようと考えても
ユーロは全会一致が原則
第2第3のギリシャ候補の国々が賛成するはずがない
現実的にみるとギリシャを強制的に追放することは非常に難しい
ギリシャの現政権は国民投票で緊縮策にノーを突きつけ
プーチンとも連携しながら
EU側と強硬に交渉を続けていく戦略だ
もし緊縮策にイェスの場合にはツィプラス首相が辞任し総選挙が行われ
またもや政治空白の期間が長引き、さらに事態は流動化していく
どちらの事態になっても
ユーロ圏の憂鬱は果てしなく続くことになる
6月30日世界的な投資家ジムロジャーズがWSJのインタビューに答えて
こんな意味深い発言をしている
ギリシャにとっての最善策は破綻を宣言してユーロ圏にとどまり
やりなおすこと
ギリシャが債務を完済することはないだろう
果たして10年後ユーロの未来はどうなっているのだろうか?
ユーロと言う通貨だけ融合させた市場の
壮大な実験の結果は人類に何をもたらすのだろうか