「AI時代の人間の行方」羽生善治
時代の”潮流と深層“を読み解くとして
宮崎大学で慶応丸の内キャンパスとネットで結び
宮大夕学(せきがく)講座を開催している。
九州では宮崎大学だけだそうだ
4月26日は将棋棋士で永世7冠の羽生善治氏の講演が開催された。
タイトルは「AI時代の人間の行方」
1956年夏、アメリカのダートマス会議で
初めてAI(Artifical Intelligence)の概念が生まれた
1996年IBMの開発したディープブルーが
当時のチェスの世界チャンピオン、カスパロス氏に勝利した。
囲碁では
2016年グーグルのDeepMindが世界のトップ棋士に勝利した
将棋ではPONANZAが名人に勝利した
AIの勝利は囲碁では2年、将棋では10年しかかからなかった。
まさに恐るべき進歩だ!
なぜこれだけ急速にAIが強くなったのか?
データを増やした
ハードの性能を上げた
局面そのものを評価する精度が向上した
特に画像認識が飛躍的に上がり一挙に強くなった
AIは1万ぐらいの評価パラメーターで手を決定している
この精度が飛躍的に上がっている
AIと人間の違いは
時間軸がない
一貫性がない(ストーリー性がない)
恐怖心や感情がない ことだ
そのため通常考えられないような大胆な信じられない手を指す
凄いことは一年前のソフトとAIを対戦させると
約8割から9割、勝利するという
怖いのはAIが強くなるための自己対戦のディープラーニングは
決定のプロセスがブラックボックスになっていることだ
そのため、今後AIについて求められるのは
医療など様々な安全の確保のためには
どうしてその選択がなされたのかと言う理由付けが不可欠だ
あと一つ、AIの弱点は水平思考
10手目は−100点だけれども、20手目は+300点になる手よりも
AIは1手目で+100点の手を目指していく
1手づつをリセットしていき、決定するため
水平線の先は見えないので、見えている部分だけで
最善を判断するのが現状のAIだ
つまり良い結果が出るまでに長い時間がかかるものに弱いと言う
AIは人間の才能を開花させるものとして使っていければよい
初期設定やアウトラインをしっかり作ることによって
良い方向に進めることが重要
必要以上に恐れない、楽観しないという事も大事だ
自分の美意識だとこの手は勝利するけど指せない手
AIの手にはそんな手もあるのだろう
今後AIはますます進化し、人間生活の様々な領域に広がっていく
必要不可欠なのはAIの決定する過程のブラックボックスの解明と
人間しか持つことができない
自分なりの大局観(ストーリー性)と美意識を確立すること
これからは人間とAIが互いに極めあっていく姿こそが
豊かさの根源となるのかもしれない!