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スピノザの診察室(夏川草介)

穏やかだが少し寒いお正月です

今年も宜しくお願いいたします

さて年末恒例のNHKドキュメント72時間を見ていたら

1位と2位はなんと病院だった

日本の老齢化の進行と共に病院は

人々にとって欠かせない場所になりつつあるんだろう

実は昨年読んだ中で感動した本がある

「神々のカルテ」の夏川草介が書いた

「スピノザの診察室」 である

内容は若くして将来を嘱望されていた医師

雄町哲郎(マチ先生)は最愛の妹が若くして世を去り

甥の龍之介と暮らすために大学病院をやめ

京都の地域病院で働いている

その日常で起きる終末医療の在り方を描いている

登場人物それぞれの言葉、患者の想いなどが

表現豊かに生き生きとつづられていく

若い医師はマチ先生の考え方が理解できない

治らない病気を抱えていても幸せに過ごす人もいるだなんて・・

マチ先生は言う

若くして難病を患った女性がいてね

幼い子供を残して数年で亡くなったのだが

最後まで笑顔をなくさなかった

夫を早くに交通事故で亡くて、今度は自分が難病だ

どう考えても悲惨な人生に見えるのに

記憶をたぐると思い出は笑顔ばかりなんだ

彼女自身、辛くなかったはずはないけれど

残された時間を、少しでも楽しい思い出にしたいと思ったのかもしれない

実際その思い出に私もとても救われている

つまり彼女は絶望の淵に立ちながら

魔法のように幸せな時間を作り出してくれたわけだ

できるなら、私もそんな人間でありたいと思うんだよ

人は無力な存在だから互いに手を取り合わないと

たちまち無慈悲な世界に飲み込まれてしまう

・・・・・

真っ暗な闇の中につかの間、小さな明かりがともるんだ

その明かりはきっと同じように暗闇で震えている誰かを勇気づけてくれる

そんな風にして生み出されたささやかな勇気と安心のことを

人は幸せと呼ぶんじゃないだろうか

病院で治療していた

飲んだくれの病人が酒を飲みアパートの部屋で亡くなっていた

その免許証の裏には

おおきに先生 と書いてあった

命は救えない、しかし心は救える

その言葉は私の心の深淵に入り込んでくる

続編の「エピクロスの処方箋」もまた別の機会に紹介したい