妻亡きあとに〜近藤正臣 郡上八幡ひとり暮らし~NHK
NHKドキュメンタリー
妻亡きあとに〜近藤正臣 郡上八幡ひとり暮らし〜
を見た。
郡上八幡は私にとっても思い出深い地だ
1998年に開催されたグリーン博のイベントでの
郡上八幡在住の水野正雄先生の作品展示にお願いに行ったことがある
昔ながらの古い街並みと清らかな水の風景は
今でも私の心に深く残っている

そんな場所だけに番組を見ながら、
私はいつしか自分の人生と照らし合わせて見ていた
番組は2017年に東京から移住してきた近藤正臣夫妻
仲睦まじい夫婦だったが、妻は認知症になり
1人介護の日々が続き、2年半前の2023年に亡くなった
最愛の伴侶を失った深い喪失の中でひとり暮らしの日々が続く
その現実は誰にでも訪れる「老い」と「孤独」の日々だった
日々老いていく肉体との葛藤は私の現実と重なり合う
若い頃には想像もしなかった変化が
ある日気づくと生活の中に静かに忍び込んでいる
無理がきかなくなる日常
思うように動かない肉体
「いつ死んでも思い残すことはない」と言っていた近藤正臣
この言葉には最愛の伴侶を失った人だけが持つ
深い静けさと諦観が滲んでいた

そんな彼を支えてくれたのは郡上八幡の人々のさりげない温かさだった
妻の世話をしてくれた介護ケアの女性たち
釣り仲間
文化活動でよく通った街の喫茶店の女性主人
県外、県内から集まった女性グループへの郡上歌の指導
この一つ一つの関わりが彼の心に再び灯りをともしていく
想いでは時に重く、時に温かい
ひとりで生きていく日々の支えにもなるのだ
番組の最後で
「もう少し生きてみようかな」83歳になる彼の一言は
薄曇りの空から射した一筋の光のようだった
喪失の後で訪れたかすかな希望
それは心の奥でそっと芽生えるのだろう
近藤さんの生きていく姿を通して
自分自身のこれからを静かに見つめ直す貴重な時間となった


