ダンス・ダンス・ダンスのピナ・コラーダ

すがすがしい季節になった
残暑が日中には感じられるが朝夕の涼しさは
宮崎でも秋の訪れをまじかに感じる
 
夕暮れに少し早い月の出をぼんやり見ていたら
なぜか村上春樹のダンスダンスダンスに登場するピナ・コラーダを
飲みたくなった
去りゆく夏への感傷だろうか?
村上春樹の小説には音楽やお酒が良く登場する
音楽やお酒はその小説のストーリーをとても印象的にしてくれる
 
ダンス・ダンス・ダンスは
32歳と2か月の主人公がユキと言う感受性の鋭い13歳の美少女のおもりを
する羽目に陥り、ユキの母親が住んでいるハワイに行くことになる物語
印象的なお酒は何といってもピナ・コラーダ
ラムをベースにパイナップルジュースとココナッツミルクを加えたロングカクテル
 
ハワイ ハレクラニのビーチバーで
 

「ねえ、それまた少し飲んでもいいかしら?」

とユキは僕のピナ・コラーダを指さして言った。
「いいよ」と僕は言って、グラスを取り替えた。
ユキはそのストローでニセンチほどピナ・コラーダを飲んだ。
「美味しい」と彼女は言った。
「昨日のバーとは少し味が違うような気がする」
僕はウェイターを呼んでもう一杯ピナ・コラーダを頼んだ。
そしてそれをまるごとユキに与えた。
「全部飲んでいい」と僕は言った。
「毎晩僕につきあっていたら、一週間で君は日本でいちばんピナ・コラーダに詳しい中学生になれるよ  
 
ユキの父親からのプレゼントだと言うコールガールとはジントニック  

プレゼントの印は手首にリボンを巻いている

 部屋でコールガールのジェーンと

 僕は溜め息をついた。そしてジン・トニックを飲んだ
「やろうよ」とジューンは単純に言った。
「気持ちいいわよ、あれ」
「ねえ、もう一杯ずつジン・トニック飲まない?」と彼女が僕に訊いた。
僕が肯くと、台所に行ってふたり分のジン・トニックを作ってくれた。
そしてラジオをつけた。
彼女は自分の部屋にいるみたいにくつろいでいた。
ハードロックがかかっていた
「サイコー」とジューンは日本語で言った
そして僕の隣に座り、僕にもたれかかって、ジン・トニックをすすった。
「むずかしく考えちゃ駄目よ」と彼女は言った
「私はプロなのよ。このことに関しては、あなたよりは私の方が詳しいの。
そこには筋もなにもないの。
だから私に全部まかせなさい」。
・・・・・・・・・
「オーケー、やろう」と僕は言った。
「そうこなくちゃ」とジューンは言った。
「まかせなさいって。始めから終わりまで私がやってあげるから。
あなたはじっとしてればいいのよ。
ただし最初に二つだけやってほしいことがあるの」
「何だろう?」
「部屋の電気を消すことと、リボンを取ってくれること」
僕は電気を消し、手首のリボンを取った。
そしてベッドルームに行った。
彼女もやはり技巧的な娼婦であり、その技巧にプライドを持っているようだった。・・・・・・
夜は始まったばかりで、月は海の上に浮かんでいた。
「どう?良かったでしょう?」
「良かった」と僕は言った。本当に良かったのだ。
それから僕らはまたジン・トニソクを一杯ずつ飲んだ
「ジューン」と僕はふと思いついて言った。
「ねえ君、ひょっとして先月はメイって言わなかった?」
ジューンは楽しそうにはははと笑った。
「面白いわねえ。私ジョークって好きよ。来月はジュリーっていうのかしら。八月はオージー」 

 
ハレクラニの室内バーでユキとマティニー
 
僕らはハレクラニのバーに行った。
プールサイド・バーじゃない方の室内バーだった。
僕はマティーニを飲み、ユキはレモン・ソーダを飲んだ。
セルゲイ・ラフマニノフみたいな深刻な顔をした髪の薄い中年のピアニストが、
グランド・ピアノに向かって黙々とスタンダード・ナンバーを弾いていた。
客はまだ僕ら二人だけだった。
彼は『スターダスト』を弾き、『バット・ノット・フォーミー』を弾き、
『ヴァーモントの月』を弾いた。
技術的にはもうしぶんなかったが、あまり面白い演奏ではなかった。
彼はそのステージの最後にショパンのブレリュードをきちんと弾いた。
これはなかなか素晴らしい演奏だった。
ユキが拍手をすると、彼は二ミリくらい微笑み、それからどこかに消えた。
僕はそこのバーでマティーニを三杯飲んだ。
 
奇妙で複雑なダンススッテプを踏みながら
暗く危険な運命の迷路をすり抜けていくダンス・ダンス・ダンス
音楽とお酒の移り変わりで感情の変化が読み取れて、
小説に深みを与えています