,  経済

習近平=世界金融覇権への道=

経済力で世界第2位となった中国
豊富な外貨準備高を元に金融をベースにした世界戦略を
実践している
それは新たな金融機関の設立だ
アジアの豊富なインフラ需要を見越した
アジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立である
資本の大半は中国が拠出する
しかも初代総裁は中国の元財務次官 金立群氏だ
 
この計画には当初からアメリカが難色を示していた
それは米日が主導となったアジア開発銀行(ADB)があるからだ
この銀行は1966年に設立され歴史も50年
資本は1650億ドル(19.8兆円)
テーマは貧困救済
資本比率は日本15.67%、アメリカ15.56%、中国6.47%で
67カ国の参加となっている
総裁は初代から日本人で本拠地はマニラにある
米日にとって中国がアジアへの独自展開の推進力となる
アジアインフラ投資銀行(AIIB)の金融機関の設立などもってのほかだったろう
 
しかしアジアのインフラ需要は予想以上に旺盛だ
今後10年間、年間96兆円のインフラ投資が必要との試算もある
これだけの資金需要を満たすには
とうていアジア開発銀行(ADB)だけではまかないきれない
そのため中国からの提案はアジア各国もこぞって賛成した
 
習近平は巧みだった
昨年のAPECなどを含め水面下で地固めをしていた
当初はアメリカと呼応して難色を示していた欧州だが
ウイリアム王子の3月訪中に伴い
英国は中国に大きなサプライズを用意していた
訪中の終了後
英国がAIIB参加を決めたのだ
 
これにはアメリカは英国に猛烈に抗議したが時すでに遅し!
勝負はこれで決まった
英国の参加で雪崩を打って
欧州の主要国ドイツ、フランス、イタリアが矢継ぎ早に参加を決めた
欧州は実利を取った
中国という巨大な市場とアセアンというインフラマーケットに
まるで磁石に引き寄せられるかのように参加を決定したのだ
 
アジアインフラ銀行(AIIB)は互連互道をテーマに
2016年1000億ドル(12兆円)で設立する
アメリカの対応に悩んでいた韓国が3月18日参加を決定した
これで33カ国の参加
アジアをはじめ中東、欧州、ニュージーランドなどほぼ世界の参加となる
オーストラリアも近々参加を決定するだろう
 
いつのまにかアメリカと日本だけが取り残された構図が見える
明らかに大きなオバマ外交戦略の失敗だ
これで米日はどう対応していくのか?
米日はアジア金融戦略において大きなダメージを負ってしまった
この時期になって米日両サイドからAIIBへの参加協議の声が上がり始めた
中国の作戦勝ちだ
そして中国にとって待ち望んでいた独自の世界金融覇権への道が開かれた
 
IMFは5年ごとにSDRバスケットを見直す
現在はドル、ユーロ、ポンド、円の4通貨で構成されている
2015年の見直しではSDRバスケットに人民元が入ることは間違いない
それを考えると
アジアインフラ銀行(AIIB)はアジアでのインフラ促進だけではなく
人民元の国際戦略の一環でもあるということも言える
人民元を入れたSDRバスケット体制が
これからの世界決済の主流となるのであれば
長く続いていた
アメリカのドル基軸通貨体制の終わりの始まりを意味している
 
アメリカの出方を伺いながら、水面下で調整し方針を決定していく日本
今のままではアジアのリーダーは日本から中国に移行していく
成長マーケットであるアジア・アセアンのリーダーとなるためには
そろそろ日本独自の意志と覚悟と決断とスピードが
必要な時期に来ている