メディア、広告,  

火花(又吉直樹)

2015年度芥川賞をとった作品
 
笑いの道を究めようと
迷い悩む徳永と言う青年のほろにがい
青春物語
ある意味この本は又吉氏の私小説とも言えるだろう
 41IUgeZHdNL._SX347_BO1,204,203,200_
登場人物はほぼ2人がベース
奇人か変人かわからない芸人先輩 神谷を
ちょっぴりあこがれる年下の後輩 徳永との2人の物語
先輩からの笑いとは何かの話
2人での飲み会、先輩の彼女の家での対話
などを通じて笑いのラビリンスに
迷い込み、笑いと言うとてつもない深淵に
おぼれ、あがき続けるストーリーだ
 
まさしく又吉氏の実体験が大きな骨となっている
笑いとは何かをテーマに
芸人生活の実情や
若手芸人の今を垣間見ることができる
 
ただ読んでみて
読み難さがありなかなか前に進まないもどかしさを感じた
 
一番人間的な魅力を感じたのが
神谷の彼女だった真樹さん
真樹さんに男ができ、神谷と引越しの手伝いに真樹さんのアパートに行く
10年後
真樹さんが子供を連れて公園を散歩するところを徳永は目撃する
徳永の真樹さんに対する感想でこんな文章がある
 
誰が何と言おうと、僕は真樹さんの人生を肯定する
僕のような男に、何かを決定する権限などありえないのだけど
これだけは認めて欲しい。
真樹さんの人生は美しい
あのころ満身創痍で泥だらけだった僕たちに対して、
やっぱり満身創痍で、全力で微笑んでくれた。
そんな真樹さんから美しさを剥がせる者は絶対にいない。
 
なぜか私の中では本の中でこの文章が一番輝いて見えた
 
芸人というこの私小説は
又吉氏の体験が大きな骨となっている
笑いとは何かをテーマに
芸人生活の実情や
若手芸人の今を垣間見ることができるのだが
私の心にはすんなり入り込んでいかなかった
 
残念だが芥川賞というほどの小説でもないように思える
作者の才能は認めるのだが
世間の評価が両極端なのも
読んでみて改めて納得できるものだ。