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二郎さんのまぐろ談話

すきやばし次郎の小野二郎さんが
まぐろについて
「すきやばし次郎 鮨を語る」 の本の中で次のように語っている
まぐろの現状と二郎さんのまぐろの価値観が
一目瞭然としてわかる内容だ
 
わたしらが一番頭を抱えるのはマグロ
なかなかいいのがない
私が欲しいマグロってのはとにかく香り。
一口かむとふっと艶めかしい香りがツーンと鼻に抜けて、
力強いのに押しつけがましくない脂や甘み、酸味や渋みが
ジワッと口中に広がっていく。
大海を巨体で悠々と泳ぐ、王者の鮮烈な血の香りですね。
ただし脂がしつこくちゃあいけない。
しっかり脂はまわっているのだけれど、さらっとしている
そんな軽快さが欲しいんです。
だから200キロを超しちゃう大シビよりも
150キロ未満の小兵が好きなの、私は
 
少し前までは近海物が無くなると
300キロ級の一本釣りの
ボストンマグロ(通称ジャンボ)が空輸されてきて
これはこれで使い勝手が良かった。
脂が赤身までまんべんに回っていて
中トロや大トロはさすがに脂がくどくて
ラードみたいだったり、筋が強かったりと欠点はあったけど、
それはこっちの腕でカバーできた。
そのジャンボが今は全く来ない
世界的なSUSHIブームで日本に持ってくるまでもなく
相場は立つし、小型のものはすべて畜養に回されちゃう
畜養は生臭みばかり残ってマグロ本来の香りが全くありません。
 
そういう次第でここのところ輸入マグロは全く使いません。
近海物はと言うと
押しなべて脂が薄い
うまみが足りない
香りが立たない
ただ赤いだけで硬い
そして妙にスマートなんです。
太らないで背ばっかり伸びている
大真面目に私はこれも地球温暖化のせいだろうと睨んでいます。
つまり海水温度が下がらないから
いつまでも薄着のまま、脂をまとわずに成長しちゃう
いくら寝かせったってしっとりしない
もうゴリゴリ
 
 
またマグロの良し悪しは漁法ではなく
釣った後の手当てだと二郎さんは言う
釣ったらできるだけ早く殺しを入れて
暴れないようにして
血や内臓を抜き
チルド状態で冷蔵する
この手当に尽きると言う
 
次郎のお任せは
赤身、中トロ、大トロと出てくる
だから特に最後の大トロがくどすぎるのは禁物だと言う
 
海の王者たる本マグロだからこそ
軽るみの中に妙味あり
この年になって得た最終結論です
 
大吟醸を楽しむ会を開催するようになってから
7月は全国から海産物を仕入れる関係で
日本の海が年々どのように変化しているのかを感じている
特にここ3~4年の海の激変はまぐろやうになど
劇的に減少していると言っても過言ではない
地球温暖化による海流の変化
異常気象
豪雨
世界的な鮨ブーム
がそれに拍車をかけている
 
現状のまぐろの状況がどう変化していっているのか
日々、マグロを握り続けている
名人職人だからこその言葉は想像以上に重い