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森の木琴(CM)

久しぶりの心に残るCMだ
日本のCM作品で素晴らしい快挙となったのが
森の木琴のCM
 
NTTdocomoが四万十ヒノキの間伐材を利用した携帯発売のために
制作したものだが6月に開催されたカンヌ国際広告際で
サイバー部門で金賞
フィルムクラフト部門(サウンドデザイン) 金賞
フィルム部門で 銀賞と3部門で受賞した
 
この曲を奏でるために並べられた鍵盤の数は413枚
しかも間伐材だ
角度12度の森の斜面に44メートルの木琴の鍵盤が作れる環境はなかなかない
その場所が見つかったのが福岡県嘉麻町の森だった
 
CM完成まで9回も試され
その度ごとに鍵盤を並べなおした
木球の球がゆったりと転がり落ちると
森の中に響く澄み切った音
音楽はバッハのカンタータ第147番 『主よ、人の望みの喜びを』
耳なじみのクラシックが森の中で響き渡り清冽な印象を醸し出す
途中たどりつくかな?と
こちらがやきもきするほどの木球の動きは
赤ちゃんを見守るような親の心境にも似ている
そして最後の木球の着地は見事だと言うほかない
思わずにっこり、心が癒されるCMだ
 
3月にネットで流され大きな反響がありテレビでも放送した
 
このCMの監督をしたのが
武蔵野美術大学 基礎デザイン学科の 菱川勢一教授
彼はブログの中でこう言っている
 
その撮影はほとんど『奇跡を狙いに』粘った4日間
人が手で作ったものを合成やCGに頼ることなく映像化する
この4日間に味わった現場での
鳥肌が立つような感覚は
しっかりと映像に捉えられています
この撮影の準備のため九大学生有志が中心となって
本当に頭が下がるような実験を毎夜続けていました
天気、気温、湿度など様々な条件・・・・・
ため息がでるほどのリスクのある撮影でした
デジタルエンジニアリング全盛のものづくりに一つの提案をするような映像です
 
押し寄せるデジタル、返すは人の心なり
という言葉が私は好きだが
まさに日本の職人技と自然が一体化したCM
今だからこそ作らないといけないCMだと思う
関係者の皆さんの発想の遊びの感覚の見事さと
それを現実にしっかり落とした偉大なチャレンジ精神に拍手を送りたい