西の関とふぐ
宮崎から見ると大分と言えば隣の県ながら遠い場所だ
県北の交通のインフラもまだ完全に整備されていないので
予想以上に時間がかかる
一度はお邪魔したいと思っていた西の関に
やっとお伺いすることができた
近くて遠い場所だと感じていたが
来て見れば宮崎から車で5時間
大分空港を過ぎると国東町
その田園風景に溶け込むように西の関の萱嶋酒造がある
シンボルは赤い煙突だ
敷地4000坪という大きな敷地に蔵がある
萱嶋社長と専務が出迎えてくれた
この蔵のモットーは五味一如の酒
甘・辛・酸・苦・渋が調和した品質第一の味のある酒を目指している
蔵人の部屋にあっただるまストーブ
早速蔵を案内していただく
蔵の中は予想以上に広く清潔だ
櫂なども地元の竹を使っての手ずくりで作っている
そのほうが使いやすいのだと言う
仕込み水はやや軟水
優しく甘みのある水で硬度は4だそうだ
原料米は大分ヒノヒカリ、広島八反田、兵庫山田錦など
現在生産高は6000石
最盛期は10000石以上もあったそうである
九州の地酒蔵としては代表的な蔵でもある
この蔵の自慢は1963年12月に先駆けて
大吟醸「秘蔵酒」を発売したことだ
まだまだ三倍増酒が多かった時代に
蔵のシンボルともいえる大吟醸酒を発売したことは
地酒蔵の確固たる信念を示したといってもいいだろう
まさしく西の横綱 西の関だ
1963年の雫酒ー中身は半分程に 真ん中が萱島社長 右が専務
ある倉庫に案内していただく
ここは宝の倉庫といっても良い場所
1963年に発売した秘蔵酒から一升瓶に入れて年ごとに保存している
1963年度の瓶は中身は半分ほどになり
そこには澱がたまっている
無理ににお願いして少しなめさせていただく
琥珀色の半世紀を超えた古酒の舌触りはなめらかで円熟の丸い味わい
ひね香も全くない
50年たっても酒が生きている
素晴らしい!
今宵は地元で採れた天然フグと西の関を楽しむ
食事と泊は海喜荘
海のたもとに立つ由緒ある旅館
ふぐは見事な厚切りである
新鮮だと厚切りにしかひけないのだと女将の話・・・
ふぐ刺しの淡白な旨さに舌鼓
そして天然の白子焼きの極上の食感
マシュマロみたいな濃厚な舌触りと深い味わい
最近は大分でも生の白子はあまりお目にかかれないそうだ
天然ふぐにお酒は西の関の上撰の燗
少し甘めのお燗がたおやかに食を引き立たせ
口をさらりと洗い流しいくらでも量が入っていく
食材を丸く包み込みこみ、飲み飽きしない旨さ
改めて西の横綱 西の関 の味わい深さを認識した
西の関の萱嶋社長は歌がうまい
レパートリーは4000曲と豪語されるほど・・・・
大好きなテレサ・テンからシャンソン、軍歌まで
いぶし銀ののどを夜遅くまで披露していただいた
国東の酒と魚とテレサテン