,  感動、癒し、喜び

好村兼一(剣道八段、作家)

フランスの剣道界で知らない人はいないと言われる
好村兼一八段が宮崎にお越しいただいた
好村先生は東大3年の在学中に
全日本剣道連盟派遣学生指導員としてフランスに渡り
以来42年、パリに在住
渡仏の時は4段、独学で剣道を極め
2002年には日本剣道を学ぶ者の頂点とも言える八段を取得された
フランスでの1人稽古で八段を取った偉業は注目を浴び
剣道再発見と言う書物で稽古法を紹介されている
基本に立ち返るとともに、気や呼吸法を組み合わせ、精神性を重視するというもの
『竹刀を振るのは筋肉ではない、体の芯から出てくる力を、
鞭を振るイメージでしなやかに伝えていくことです』  の言葉はとても深い
 
45歳ごろから歴史時代小説作家を志
帰国の度に古本屋や図書館を巡って勉強されていたようだ
 
2007年に侍の翼で初出版
2009年  伊藤一刀斎 
2010年に 行くのか武蔵  などを出版されている
 
剣道の名人ならではの実践の体の感覚を
ペンに置き換えた戦いの描写の鋭さと深さ
そして達観した考え方は読んだ人の心に深く刻まれる
 
今回の訪宮のきっかけは宮崎県出身の日本武道の多田竜三、恵理子夫妻
ヨーロッパで剣道の普及にあたっている時に
好村先生を慕って、剣道を習ったことがきっかけ

好村先生は影流発祥の地、鵜戸神宮のことは前から興味があったらしく

先生の求めに多田氏が鵜士神宮の写真や資料を説明し
この作品を完成させたのである

影と胡蝶―影流開祖愛洲移香伝ー

 
主人公の

愛洲移香斎(あいすいこうさい)1452~1538は

伊勢・熊野の出身と言われ通称 太郎左衛門
日向国 鵜戸神宮に参拝したところ霊夢を得て
奥義を悟り剣法 影流を創始したと言われている
明国や諸国を武者修行した後、晩年は鵜戸神宮の神職となり
日向守を称したとされている
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この本が出版されたのが今年の2012年だ
多田氏から鵜戸神宮の写真を見せられたり
色んな資料を研究して書かれたようだが
自分の描いた鵜戸神宮が実際とどう違うがあるのか、是非見てみたかったと言う

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好村八段VS多田六段          好村先生
 
想像以上の素晴らしい神宮でした
しかもほぼ私の予想していた通りでしたと好村先生
鵜戸神宮では好村先生と多田氏の剣道の形も披露されたよう
ご案内いただいた
本部宮司や三つ和荘の和田社長も大変喜ばれたよう
 
先生、多田夫妻と食事をさせていただいたが
謙虚で礼儀正しく、心優しい方だ
偉ぶるところがなく、自然にすっと会話に入っていけた
小柄ながら心が豊かで大きな方だった
 
この本のあとがきが興味深い
好村先生はフランスで平沢淑子さんと言う画家と
10年以上前に知り合いになり
平沢さんが愛洲移香斎 直系の19代目の御子孫と知って
大変驚いた
まさか私が、しかもパリで影流開祖の直系御子孫に会おうなどとは・・・・・
文化剣道普及に努める者として冥利に尽きる
と書かれている
 
この作品は好村先生によって
今のタイミングで書かねばならなかった天命の題材だったのではないか
と言う気すらしてくる
宮崎の鵜戸神宮はこの作品を契機に剣法発祥の地として
世界の多くの剣道愛好家にとっての聖地となってほしいものだ
 
離れることで見えてきた日本の良さ、剣道の良さがあると好村先生
これからもフランスで剣道と日本文化の普及に頑張っていただきたいと願っている