神馬(しんめ)上野敏彦著
前からうわさに聞いていた
京都の名居酒屋の神馬に行きたいと
一度京都駅に降り立ったことがある
駅から30分ほどの西陣でおり、お店の風格に圧倒された
しかし中に入るとじんわり落着き
6種類の特製ブレンド酒のお燗ときずしを楽しんだのが
良き思い出だ
その神馬を題材に
共同通信・編集委員の上野敏彦氏が本を出版した
題名は神馬(しんめ)ー京都・西陣の酒場日乗ー
編集員となって忙しい毎日なのに
休みを利用して定期的に
取材に京都に行っていたようだ
この熱心さと言うか作家魂にも頭が下がる
上野さんは元共同通信宮崎支局長
彼にとっては酒の3部作の完成かもしれない
神亀を描いた闘う純米酒
宮崎の都農ワインを書いた闘う葡萄酒
そして今回の神馬
これで日本酒,ワイン、居酒屋の3部作となる
目の付け処も渋く上野さんらしい・・・・
さて内容は
居酒屋の世界遺産とも言われる
神馬(しんめ)を核にして
京都、西陣の風情や人々の交流
そして京都の割烹にも負けないツマミの数々を
作者ならではの細かい観察眼でじっくりと取材して書いている
お店があるのは2条城駅から歩いて20分ほどの
西陣千本中立売
少しご紹介
日本の着物産業が華やかだった
昭和30~40年代
東の新京極が銀ブラだとすると
西の千本中立売は千ブラといっていたほど
歓楽街が多く華やかだった
歌手の都はるみ一家も京都で織物を織る仕事をしていた
父親は良く神馬で飲んでいたようだ
都はるみは平成17年に神馬に訪れ
私の父がどういう飲み方をしていたのか知りたいと思ったのです
私も57歳になりました
と言ったのをご主人の酒谷さんがよく覚えているそうだ
京都の出版社 淡交社の編集者神野慎一郎は
神馬に初めて来た客は3回驚くと言う
一回は古色蒼然とした雰囲気に
2回はその値段の高さに
そして3回はその値段の安さに・・・・
この言葉は言いえて妙である
私も少なからず居酒屋なのに価格の高さに一瞬驚き
食べてみて価格の安さに驚いた一人でもある
ツマミは垂涎のメニューが並ぶ
それを仕切るのは2軒の料理屋修業から
父芳男のがん入院が元で帰ってきた酒谷直孝氏
ぐじ、のどぐろ
鱧と松茸、かに、ししゃも、おでんなどなど
ツマミのこだわりも大変興味深い
詳しくは本を買って楽しんでください
食と酒の好きな方にはこの名居酒屋の歴史を通して
又違った京都を
知ることに損はない!