メディア、広告,  

塞王の盾(今村翔吾)

「矛盾」と言う漢字がある

成り立たないものの例えだと言う

鉾と盾は同時に成り立つことはできない

その鉾と盾を戦国時代の戦いの中で

鮮やかに光を当てたのが「塞王の盾」である

織田信長,豊臣秀吉、徳川家康という

乱世の戦いで家族を失ってしまった匡介は

異能の石積集団と言われる穴太衆の飛田屋の源斎に助けられ

源斎は郷土に連れ帰る

匡介の才能を見抜いた源斎は飛田屋の後を継がせることにした

以来23年間、匡介は石垣の技術を磨き、だれからも信頼される跡取りに育つ

そして城を守る盾が穴太衆の信念であり

最強の盾を造ることにより匡介は戦いが無くなると考えたのだ

一方鉄砲を造る職人集団、国友衆

その後継ぎが国友彦三郎だ

どんな城も崩してしまう鉾

そんな鉄砲を造れば戦いはなくなると考えた

関ヶ原の前哨戦としても言われる

大津城を舞台に城主、京極高次とその妻お初を中心に

飛田匡介と国友彦三郎の

盾と矛の一大決戦が始まる

この戦いのため新しく造り上げた大筒

大筒の威力と

崩されながらも何度も石積みを積み上げていく飛田屋

その描写が実写を見てるようで迫力満点だ

誇りと信念を持って戦う2人はどちらが勝つのか

手に汗を握るエンターテイメント小説である

最後局面でどちらも戦う相手に対して

すがすがしい感情が芽生えてくるのが読むものを引き込んでいく

矛盾という言葉を改めて感じさせる

圧巻のエンターテイメント歴史小説である

異色の経歴を持つ今村翔吾氏

新たな視点で今後の作品を期待したい