世界はこのままで行くと食料と水が不足する
新興国の多いアジアではこれが顕著になっていく
この事は多くの人の共通認識であろう
水ビジネスに関しては日本は独特のシステムだ
一つ一つの技術は世界最先端なのだが
総合管理は行政、そして細部の技術やシステムが民間という
日本独特の形が海外に総合的に水ビジネスを
展開できない弱点として指摘されてきた面があった
世界の長期的な水ビジネスの成長を
どうやって日本が獲得し地域の活性化にどうつなげていくかが
大きな問題となっていた
その矢先である
2011年3月北九州市水道局は大きな歓声を上げた
国際協力機構を通じて
カンボジアのシェムリアップ市の浄水場の技術支援
基本設計、需要予測、配水管の整備計画などを1400万で受注
国内の自治体としては初の快挙となった
驚いたのは国内の関連企業だ
今までは水道技術の海外支援は原則無償の国際協力だったからだ
なぜ北九州市はこのようなことを成し遂げられたのか?
理由は3つの点が大きい
①、新日本製鉄などの企業の立地で産業都市として発展する中で
様々な大気汚染、水質汚濁などの公害に悩まされてきたが
1960年ごろから官民と市民が一体となって環境再生を果たした
貴重な経験を持つ
アジアの新興国にとってはまさによき見本なのだ
②、国際的な技術協力
上下水道分野に12か国延べ126名
海外からの研修生受け入れ 120か国 2500名の実績
③、アジアの実績、カンボジア・プノンペンの実績
深刻な漏水、水の盗難に悩んでいたプノンペン水道公社に対して
配管網をブロック分けし管理するシステムを提案
漏水、盗水率は8%と10年前の72%から劇的に改善した
カンボジアでは水道管理は北九州とまで言われるようになった
北九州市の意欲は昨年から加速度を増してきている
2010年8月北九州市海外水ビジネス推進協議会を設立
発足時は57社だったが2011年5月末には102社に達した
世界の水需要の増大に伴い、民間企業の水の海外ビジネスにかける期待の大きさが現れている
全国で初めて公民が一体となって水事業を推進できる体制を作った
そして2011年4月ウォータープラザ北九州が4月に本格稼働
省エネ型水循環システムのデモプラントなどアジア、中東にとっては
垂涎のシステムでもある
そして北九州市は中国大連・昆明、サウジアラビア、ベトナム・ハイフォン市において
継続して水事業の様々な技術協力を行っていく
私は水の総合プロデューサの不在が
日本の水ビジネスの大きな課題だと指摘してきた
水の総合管理機能を持つ地方都市である北九州市が
そんな中、成功事例をもたらした
このことはとてつもなく大きい
日本の地方都市が水の総合プロデューサーとして
世界最先端の水ビジネスを総合的に輸出し確固たる地位を獲得する
このことは世界の環境循環社会を目指す中で日本のシンボル的な事業になる
それだけではない
まさしく日本の地域の活性化の大きな事業になることは間違いがない