田の神さあと真幸米
田んぼの片隅にたたずむ小さな石像
宮崎県えびの市には 田の神さあ と言われる
ユニークな石像が田園地帯に点在している
その数は150ほど・・・・
そのなんともいえない素朴な味わいは人の心をほっとさせてくれる
田の神さあは冬は山の神となり春になると里に下りて田んぼを守り
五穀豊穣の神様として古くから信仰されてきた
さまざまな田の神さあがあるが大きく4種類に分けられる
神官型、地蔵型、農民型、自然石型
写真(左)の神官型は享保10年(1725年)に作られた市内で2番目に古いもの
神官型は宮崎県で始まったと言われている
宮崎県の南西部にあり鹿児島県、熊本県とも隣接をしているえびの市
四方を山に囲まれ、水資源も豊富なここの田園地帯は
九州でも米どころ(真幸米)としても有名だ
古くから島津の殿様の献上米として、上方の寿司米として
戦時中は天皇家の献上米として様々な話題が出る程の美味しい米であった
九州の桶狭間とも言われる有名なえびのの木崎原合戦
島津藩(300)と伊藤藩(3000)との戦いはここのおいしい米所の領地の争いだったとも言われているほど
戦いは島津が勝ち、西郷隆盛は良くえびのに来て狩や温泉に来ていた様だ
えびの米の品種はひのひかりだ
この品種は1989年に宮崎県農業試験場で育成され
1990年に品種として登録された
現在では作付面積全国3位という代表的な米の品種である
さて今日はえびのの尾山さんにお願いして真幸米の取材
真幸米のブランドは尾山商店のブランドだが
その品質に合うものは4〜5件の農家のものでしか出来ない
その中の中心人物である
えびの市柳水流の東さん宅にお邪魔する
東正実さんは言う
米は土作りと水が命
正月明けから土の掘り起こしをはじめ田植えまでに
4〜5回掘り起こしを行い砂と粘土の一番良い状態の土に仕上げていく
稲の葉の色を見るだけで田んぼの状態がわかるという
土の状態は空気が抜ける、ガスが沸くなど業界用語が飛び出し
なんとなく頭の感覚だけでもわかったような気分になる
田植えは6月10〜20日頃 収穫は10月5日頃から
朝と夕には必ず田んぼに行き、米の状態を見る
そんな手塩にかけたお米の中でも最高品質が真幸米となる
そしてこのお米を食べると真の幸せがおとずれるという・・・・・
しかし現実には寂しい言葉が続いた
減反、減反と続き
今の状態では若い者は誰も米作りを継がない
今年は米が余り価格も暴落
まだ値段も決まらない
米を作っていたら生活が成り立たないと・・・・・
日本人の命であるはずのお米
その米を作っていたら生活ができない現実
中山間地域にとって農業を活性化させなくて地域の活性化はあり得ない
国としての大きな根本的な農業政策の欠陥を浮き彫りにしている気がしてならない
日本の農業が崩れていく
残念ながらそんな印象を持った取材となった