スペキュラティブデザイン(スプツニ子!)

宮崎大学の夕学講座が7月12日開催された
慶応丸の内キャンパスから宮崎大学にネット中継されるものだ

今日の講師はスプツニ子!
両親が数学者であり、父親は日本人、母親はイギリス人のハーフ
日本で育ち、ロンドンのインペリアルカレッジ数学科、情報工学科を卒業
その後、英国王立芸術学院(RCA)デザインインタラクションズ修士課程を修了
2013年にはMITメディアラボ助教授
2017年秋から東京大学、RCAデザインラボ特任準教授就任

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さて講演はとても新鮮で面白かった
スプツニ子!はまず今までのデザインの考え方は
問題解決型だという
本質をとらえ、見た目に美しく、企業のイメージアップや
商品の売り上げアップにつながるのが
一般的なデザインだと考えられている
つまり未来はこうあるべきだと提唱し、実績が伴うのが
一般的なデザインの考え方である

しかしRCAのアンソニー・ダン教授が提唱したのが
スペキュラティブデザイン
未来はこんなこともあり得るのではないかと?
という推論を提示し、問いを創造するデザインだ

急速なテクノロジーの進化により今までの世の中の価値観や常識が
激変する時代においては
デザインで様々な未来の可能性を実体化して提案することで
多くの方が議論し多様性のある社会を造ることができる

スプツニ子!のSPECULATIVEデザインの実践とは

1)女性同士の間でできる可能性のある子供の姿
女性2人の遺伝子を解析し、その間にできる子供の姿を
シュミレーションするというアート作品を制作
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ドキュメントとしてNHKEテレで2015年10月に
会えるはずがなかった私の子供へのタイトルで放送され
多くの反響が呼んだ

現在、科学的にはIPS細胞を使えば
女性からでも精子を造ることが可能となり
それで子供を産むこともできる時代になりつつある
しかし現状では倫理観をはじめ多くの壁がある

2)運命の赤い糸
筑波の農研機構で遺伝子組み換え蚕の研究をしている
と知った彼女は研究者と掛け合い
恋愛幸福感を生む出すと言われるオキシトニンのホルモンを含み
クラゲやサンゴの持つ赤色蛍光たんぱく質で光るシルク
運命の赤い糸を開発することに成功する

これを日本の神話をイメージさせるストーリーに
先端科学が組み込まれる映像を制作し話題となった

主演の豊田玉姫から惚れられる男性 山田ジョン幸彦がスプツニ子!
運命の赤い糸は様々な方面で話題となり、うねりとなり、
まだまだ進行中のようだ

3)シリアの映画館プロジェクト
シリアは内戦がひどく、そのためたくさんの人々が難民キャンプで
生活を送っている
その中の難民が映画館を造ろうと動き出した
ただ映画館の建物はできたが
その映画館ではいまだに映画を上映されたことがない
それを聞いてスプツニ子!が立ち上がった

難民を映画の力で笑顔にしたい!
まず寄付を集める、金額は3000円から
寄付は8月1日からスタートする

寄付した方は有名な映画のポスターのまねをしてサイトに投稿すると
8月15,16日に東京で
赤いカーペットの上にそのポスターが展示されるという
成程面白い試みだ
これはNHK総合で9月に放送される予定だとか

スプツニ子!のスペキュラティブデザインは
自らの感覚で興味のあるものを勉強しリサーチし
それを自分のネットワークでつなげていくことにより
より大きく拡大し、拡散しているように見える
その底辺にあるのは人間が持つ多様性の幸福感なのだろう

これから様々な試みをされていくだろうが
今後の活躍がますます楽しみである
そして質疑応答で見せた彼女の謙虚さもとてもキュートだった!

武士道精神か勝利か?

日本代表サッカーチームがワールドカップで

決勝リーグにかろうじて勝ち上がった。

悲願の16強入りを決めた。

最初のコロンビア戦は勝利し

世界からは大いなる番狂わせと言われ

日本のサッカーを再び世界にアピールした。

 

セネガル戦では2度のビハインドを追いつき

見事なオフサンドトラップ戦略も含め

世界に知能的で粘り強い日本のサッカーを印象付けた。

 

そしてポーランド戦

01のビハインドで

終盤の10

負けている試合で日本は攻めることをせず

自軍でのパス回しに徹し

会場では多くのブーイングを浴びた

結果これが功を奏して決勝リーグに勝ち上がった

 

特に終盤の10分間

何とも情けなく、寂しい勝利の仕方だった

時間稼ぎの自軍でのパス回しは見る者にとってはつらい場面だった

ただ勝ちに徹する戦い方

武士道精神のかけらもない

そんな風に思えたポーランド戦だった。

 

日本代表のサッカーチームはサムライブルーと呼ばれている

サムライとは正々堂々の精神と相手を敬う

サムライの心構えを現しているのだと思う。

新渡戸稲造が書いた「武士道」は世界で広く読まれ

日本のサムライの精神を広く深く紹介した本でもある

本の中では

仁、義、礼、智、信、忠、誠、を大切にし

自ら卑劣な行動を慎み、品位と名誉を重んじた行動を心掛け

相手を尊重する

特にその中の「義」はフェアプレイを意味し

勝負に勝っても不正行為で勝ち得た勝利は称賛しない

 

このポーランド戦の終盤の日本の作戦は

世界のサッカーファンからバッシングを受けたばかりか

日本人の持っていた武士道精神まで無くなったのかと言われるのではないか

 

世界各国のマスコミの痛烈なメッセージがそれを見事に表している

BBCは笑劇と茶番

ドイツは決勝リーグでぼこぼこにされればいい!

各国のマスコミも恥、ナンセンスと手厳しい

当然のことだと思う

 

勝利よりもスポーツは大切なものがあるように思う

見ていた日本の子供たちは何を感じただろうか?

私にとってポーランド戦は武士道精神のかけらもない

寂しくつらい

残念な試合だった。

「万引き家族」是枝裕和

カンヌ映画祭のグランプリとなる
パルムドール賞を受賞した是枝監督の話題作
「万引き家族」の先行上映を見てきた

テーマが家族とはいえ、心に重い映画だった
夫婦と他人の4人がなぜか同居して家族になっていく時
6人は互いに幸せだったに違いない

初枝(樹木希林)の年金を頼りに暮らす6人家族
万引きと言う行為がさらに絆を深めていく
しかしそれは真っ当な生活ではない
そんなことに気づいていくのが祥太だ
妹の万引きが見つかるのを隠そうとして
自分がわざと万引きして逃げて骨折して捕まる
祥太が捕まったことから他人の結びつきの家族が
世間という常識で暴かれ、裁かれていく
万引き、誘拐、死体遺棄、様々な犯罪用語のオンパレードだ

すべて一人で死体遺棄と言う罪をかぶった信代(安藤サクラ) 
刑務官の質問には自然に涙が出たという
その表情と泣き方には凄みを感じたほどだ
最後に信代(安藤サクラ)が言った言葉が深かった
「だって、すごい楽しかった。」
安藤サクラはこの映画で一躍時の人となった。

6月2日にBSフジで是枝監督と立川談春の
対談の番組があった
その番組の中で
是枝監督の手法は毎日撮影したVを編集しながら
空気感を考えて台本が変わっていく
その現場で見つけたもののほうが面白いし
間違いがないと言い切っている

その分役者にとっては言葉がどんどん変わり
アドリブが多くなっていく
監督が日々撮りながら見つけたテーマ
それは今回の映画の主役は祥太の成長だったという

是枝作品には家族のテーマが多いが
監督自身は日本においては今の30年で家族は崩壊したと考えている
世界中でもホームドラマは成立しにくくなっていう
失われたものを取りもどすための「日常」を
是枝監督は家族をテーマに描いていきたいのだろう

是枝監督に対して外国人から言われるのは
時間が円を描いて流れている
巡る感覚だと・・・・
素敵な言葉だ

「万引き家族」これは
今の日本の問題点の縮図なのかもしれない

日本の家族の現実が、心に重くのしかかってくる映画でもある

TSUKEMEN2018宮崎コンサート

宮崎のTSUKEMEN2018コンサートは

919日 午後7時から

メディキット県民文化センター演劇ホールで開催される

 

今年はTSUKEMENデビュー10周年という節目の年

新たな未来を切り拓く

すべてメンバーオリジナルのアルバム 「X」 を発売した

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今までのアルバムとの違いは

1曲から3曲までバンド編成の曲がはいっていること

お客さんを巻き込んで一緒に作り上げていくようなライブにしたい

という想いがこもっているようだ

最初のウィニングランも軽快で爽やかなスポーツシーンを連想させる

 

3曲目の雨のち晴れのバンドやコーラスとのジョイントが

今までない生き生き感を醸し出している

 

4曲目は「Volcano

526日から公開される大谷亮平主演の映画「ゼニガタ」

のテーマソングとなる

 

等々色とりどりの3人のオリジナル曲が収められている

この感動を生のライブで体感してほしい

 

また64日にはBS日テレで

恋するクラシックの番組(夜9時から10時まで)で

TAIRIKUが出演する。

お楽しみに・・・・

 

チケットは615日発売開始

S席  5000

A席  4000

お問い合わせは

0985317086  地域活性化プロジェクトまで

 

テレビ放送の未来(坂村健)

最近思うことだが

個人的にもテレビを見ることが少なくなった

会社ではネット

家庭のTVではニュースかドキュメント、スポーツ以外は

見ることが少ない

 

見たい時にはパソコンやスマホで

YouTubeの中から音楽や映像を探して

見ているのが私の生活の日常だ

友人の中にはネットフリックスやGYAO!の動画契約を

している人も多くなった。

考えてみるとそれらはOTTと言われる業者なのだ

OTTとはオーバー・ザ・トップと言われネットで映像などのコンテンツを流す

通信業者以外の会社)

 

さて日本の代表的なコンピュータ科学者である

坂村健氏が毎日新聞に518日「坂村健の目」で

「テレビ放送の未来」のタイトルで核心の記事を書いている

 

最近発売されたメーカのテレビには

チャンネルボタンより大きく一番良い位置に

動画配信サービスの選択ボタンがついている

契約をするとスマートスピーカーと連動し

コンテンツ選びも一時停止も見直しも音声操作で自由自在

 

若い人たちのテレビへの接触率は減少の一途

テレビ業界の人は

「若者はスマホの画面でもちまちまユーチューブを見る」と嘆いているが

今やテレビ業界の最後の砦であるはずの今の大型テレビまでが

ネットに接続され、その大型画面で

動画配信サービスのアニメや映画を見る家庭が増えている。

・・・・

「電波による放送」だからこそ限られた周波数帯を押さえ

高出力の設備と技術スタッフを持つ放送局が必要だった。

多くの製作スタッフとスタジオを抱え

番組制作会社を従えたキー局が君臨し、

その番組配信と地方向けコマーシャルを抱き合わせることで地方局は成り立った。

限られた枠を押さえる広告代理店が特権的地位を持ち

限られた資源を高く売るために、視聴率を稼げる番組作りにコストがかけられ

視聴率の取れるタレントを抱えた事務所が力を持った。

長い時間をかけて「電波放送」という前提に最適化した最強の体制

しかしだからこそデジタルとネットワークが

前提になったとたんきしみ始める。

業界は今や運命共同体ではなく、先に上げた構成要素の運命は実にばらばらだ。

・・・・

儲けは広告で番組はタダと言う最強のビジネスモデルで

今までテレビ業界は視聴率競争と言う「コップの中の戦争」を謳歌してきた。

しかしそのコップは確実に干上がり始めている

デジタルとネットワークが与えるのは

物理的なメディアからの「自由」だけ。そこに方向性はない

未来を決めるのは技術ではなく自ら変える勇気

インターネットの時代、「変化」は外から一瞬で来る。

 

坂村氏は今までのテレビ業界のビジネスモデルを的確にとらえ

今のテレビ業界の苦しみや叫びも冷静に判断されている

 

OTTの動画配信のトップは無料で独自戦略のYouTube

2位は有料会員一億人を突破して世界に広がるネットフリックス

各エリアにおける巨額の番組製作費は日本でも影響を受け始めている

パソコンやスマホ中心だったOTT(オーバー・ザ・トップ)が

音声操作と言う選択と自由を通して

家庭の大型テレビを席巻するのはアッという間かもしれない

その近い将来の仕組みがテレビの新リモコンから垣間見える!

 

第一次産業×デザイン=風景

ローカルに軸足を置き

日本の端っこから第一次産業の生産者のストーリーに

新しい価値を創造していくデザイナーがいる。

梅原真氏

今までにローカルから第一次産業で

数々のヒット作品を作り出した実績は大きなインパクトを持つ

 

彼の著書、「ありえないデザイン」をゴールデンウィークに再読した

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一次産業は、直接自然に働きかけて

モノを手にする農業、林業、漁業である。

そこから得られる農産物は、人知を働かせて育てること

販促を開拓したりして売ることに

他の産業ほど手が付けられてこなかった。

中でも農業は長い間JAにより、国や県の意思を

農民に伝えるトップダウンが続いている。

生産者である農民がJAを介さずに

消費者と直接つながって米や野菜を販売することは難しかった。

戦後、近代史のシンボルとされた

農薬や化学肥料、農機具の使用を拒んで

独自の農法を続けることは、販路を開拓できない限り

不可能に近かったからである。

 

しかし今や、自給率40%以下となったこの国では

生命を健康に保つ食糧さえも海外からの輸入に頼っている

日々口ににするものは、安全で安心できるものが基本である

安全、安心の作物をどう作り、どう消費者に届けていくかを

デザインしていくこと

それは結果としてお百姓さんや漁師さんたちが

自然相手に豊かな作物を収穫できる風景を残すことにつながるのである。

 

今の日本農業の問題点を明確に言い表している言葉だ

日本の農業平均年齢は67

農業の生産者に話を聞くと

後継者不足と年収を考えると非常に厳しい状況にある

私の代で終わりだという農業生産者の多いこと

 

デザインは社会問題の解決ソフトとする

梅原真氏の信念に共鳴しながら、

今後も宮崎ならではの地域活性化を考えていきたい!

 

日南海岸サンシャイン宮崎ライド2018(報告)

全国に先駆けて宮崎で開催する2018シーズンの春のサイクルイベント                   日南海岸・サンシャイン宮崎ライドは                                           422日絶好のコンディションの元、開催された                            サンシャイン宮崎ライドは日本有数の絶景を誇る日南海岸を走り、                       おいしい宮崎グルメを堪能し、神話のふるさとの美しい山々を登り、                      宮崎の大自然を満喫するロングライドイベント。 

21日は霧島ナイトの前夜祭

霧島酒造の吉永さんのあいさつの後は

ナビゲーターの白戸太朗氏、平野由香里さん

ゲストライダーの山本隆弘氏も入って

鏡開きからスタート

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普段飲めない黒宝霧島なども飲めて皆さん満足の様子

明日の完走を誓い合った

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22日はサンマリンスタジアム前の会場の

スタートセレモニーでは

戸敷正宮崎市長が歓迎のご挨拶

その後600名のライダーがスタート

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鵜戸神宮では

魚うどんと初めてのマグロのメンチカツを

日南漁協婦人部が実演で振る舞っていただき

リーダーの太田さんには感謝!

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道の駅酒谷では草団子が大好評

飫肥エイドではおび天と豚汁に舌鼓

日南高校のボランティアの15名の皆さんの歓迎ぶりも

ライダーには大好評だった

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スギ花粉と天候の寒さに対応するため

開催を3月から4月に一ヶ月ずらしたが

ナビゲーターの白戸太朗氏も参加ライダーの方々も

気候も海の青さと山の新緑も素晴らしく

この時期が最高だと絶賛されていた

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423日は宮崎日日新聞の記事や

MRTニュースワイドで放送され大きな話題となった

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参加ライダーの皆さん、支えてくれたサポートライダーの皆さん、

ボランティアスタッフの方々

本当にありがとうございました

 

宮崎をサイクルツーリズムの聖地とするためにも

今後は日程を4月に確定し

更なるアジアや全国からのライダーの集客に努めていきたいと考えます

 

 

酒の渚(さだまさし)

「風に立つライオン」のモデルとなった柴田紘一郎先生から

さだまさしさんの書かれた

「酒の渚」という本を進呈していただいた。

私が酒に詳しいので是非読んでいただきたいということだった。

 

柴田先生の優しい心配りに感謝しながら

さっそく読んでみた

さださんの様々な酒と人との出会いが

文章を読むだけでくっきりとした映像となって浮かんでくるようだ

ホテルプラザのマルコポーロというバーの話

京都先斗町での鳩のママさんの話

新潟のオヤジから教えていただいた日本酒の話等々

そのなかで柴田先生の話も出てくる

そして何より風に立つライオンの歌の誕生した訳が

酒とともにあったということもとてもうれしい!

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三十年以上も昔の話

「風に立つライオン」のモデル、柴田紘一郎先生は

宮崎医科大学(現 宮崎大学医学部)に助教授として招かれ

長崎を去った。

ふらりと宮崎に行って大学病院を訪ねると

柴田先生はいつも病室にいて、

爺ちゃんやばあちゃんの手を握って何時間でも話を聞いていた

これこそ名医だと思った。

僕らはいつも宮崎市内の繁華街にある赤玉駐車場の奥の店

くし幸に集合した。

柴田先生の幼馴染井上さんが一人で切り盛りする美味しい串揚げ屋だった。

・・・・

当時僕は、20歳の時に聞いた

柴田先生の語るケニアを歌にしたいと頑張っていたのだが

出会ってから10年を過ぎても

その歌は僕に降りてきてくれなかった。

なぜ大学病院での貴重な時間を捨てて

アフリカに行ったのかが不思議で、飲む度に

「先生、なんで医者になってアフリカに行く決心ばしたと?

と聞いたが、いつも真っ赤になって

「いいや、つまらん理由ですたい」と笑うばかりで

決して教えてくれなかった。

・・・・・・

井上さんは黒龍のしずくという酒を置いた

すっきりとフルーティな吟醸香が美しく

鼻から目に抜けた気がした

・・・・

柴田先生は手術の疲れもあってさすがに酩酊した

これはチャンスと、いつもの質問をぶつけてみたら

とうとうその答えが返ってきた

「小学校4年の時に、伯父貴がくれた本に感動して

僕はああ、医者になりたかなあって思うたとですたい」

何ていう本ですか?

アフリカの父っていう本ですたい

シュバイツアーの伝記だ

成程、この人がアフリカに行かなければならない理由は

それだったのかと僕は膝を打った。

この直後に「風に立つライオン」という歌は

ようやく僕に降ってきてくれたのだった。

柴田先生からケニアの話を聞いてから15年目

僕は三十五歳になっていた。

 

寄せては返す酒の渚で、さだまさしが成長していった

人、酒、の日々

堪能できる一冊である。

 

あるがままに (大杉漣)

大杉漣氏が亡くなって一か月が過ぎた

大杉さんは66歳と私より年が上だが

65歳を過ぎてなお

光り続けるあの輝きは

同世代の男性としてもあこがれだった。

にこにことした笑顔、包容力、優しさ

まさに彼の信条である「あるがままに」のような自然体だった

そして長年の実績に裏打ちされた深い演技力は

多くのファンを魅了していた

 

彼の転機となったのは北野武監督との出会いだろう

映画ソナチネのオーディションに1時間遅刻して会場に行き

すでにかたずけがはじまって

スタッフと話をしている北野監督のところに行ったが

23秒見ただけで

「もう帰っていいですよ」との監督の言葉

受かるわけないと思っていたら

数日後大杉さんで行きますからの返事をもらいビックリした

 

北野監督は借金の取り立てのやくざの役の大杉に

全てアドリブでやってくれとの指示

そのアドリブの軽妙さに「こいつ、うめえな!」と舌を巻いた

そして、それからの北野映画には不可欠な役者になっていったのだ

 

大杉は北野組の仕事を次のように語っている

自分が役者としてもやもやしていた時に

こんな映画作りがあったんだと知った作品

何物にも代えがたい、俳優としての宝であり夢のような時間だった

 

独特の緊張感です

北野組って1回味わうと2度と味わいたくないと思って

撮影が終わるとその緊張が恋しくなる!

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バイプレイヤーズのドラマの撮影中に突然亡くなってしまった大杉蓮氏だが

彼は最後のプレゼントを私たちに用意してくれた

106日上映の教誨師(きょうかいし)だ

「受刑者に対して道徳心の育成・心の救済につとめ、彼らが改心できるよう導く」

教誨師(きょうかいし)の役で主演している

独房で孤独に暮らす6人の死刑囚と対話する主人公の佐伯に扮し、

その苦悩や葛藤を描き出す。

大杉氏はその映画のエクゼクティブプロデューサーの役割も果たしている

楽しみに最後の主演映画の公開を待ちたい!

 

 

日本再興戦略(落合陽一)

メディアアーティストとして注目を浴びる落合陽一氏が
日本再興戦略という本を出した
彼は筑波大学学長補佐という立場であり
筑波大学と民間で出資した研究室の代表も兼ねている

現在取り組んでいるプロジェクトは
研究室では60以上という凄まじさだという

世界はこれから
AI ,AR・VR ,5G,ブロックチェーンで
大きく変貌していくという考えが彼の持論
そのテクノロジーを踏まえて
日本の歴史や高度成長などを
深く洞察しながら日本再興戦略をアップデートした本だ
勉強不足で理解できない言葉も多かったが大変興味深かった

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共感したのは

「ものづくり」へのリスペクトを回復せよ

欧州では、アーティストや博士はとても尊敬されています。
それは社会に価値を生み出しているからです。
アーティストというのは、人類がそれまで蓄積してきた
美の最大到達点をさらに更新しようとしている人たちです。
博士というのは、人類がそれまで蓄積してきた知の領域を
ほんの少しだけ外に広げる人たちです。
だからこそ社会的価値がとても高いのですが
日本ではそういう認識がありません。
日本が文化の価値を取り戻すためには、
学ぶべきは江戸時代以前の文化です。
日本人には本質的には文化価値や職人芸を認める伝統があります。
そこにお金への信仰という尺度はなかったはずなのに
いつの間にか拝金主義が入ってきてしまいました。
今の日本には職人に対してリスペクトがあまりに少ない
・・・・・・・
そもそも日本は技法のミーム
(人類の文化を進化させる遺伝子以外の遺伝情報、習慣や技法、物語など)
が根付いた国です。
日本では技と美が一体化していて技と美が一体に語られることが多い。
芸術の世界と職人の世界が一体化しているのです。


人口減少、高齢化がチャンスである3つの理由を
このように述べている

1.    自由化、省人化に対する「打ちこわし運動」が起きない
2.    輸出戦略
高齢化社会への新しい実験を行い
新しいソリューションを確立することができれば
中国をはじめアジア諸国へ輸出していくことができる
3.    教育投資
子供が少なくなるので人材の教育コストを多くかけることができる


日本は超拝金主義の社会になっている
これはマスメディアがもたらした害悪
今の日本は拝金主義がインストールされていてもはや気にならなくなっている
拝金主義から文化価値を中心としたパラダイムにするべきだとしている


最後の落合陽一氏の言葉に

ポジションを取れ。批評家になるな。
フェアに向き合え。手を動かせ。金を稼げ
画一的な基準を持つな。
複雑なものや時間をかけないと成しえないことに自分なりの価値を見出して愛でろ。
あらゆることにトキメキしながら
あらゆるものに絶望して期待せずに生きろ。
明日と明後日で考える基準を変え続けろ

私の心に深く突き刺さる貴重な言葉の連続だ
機械と人間の違いはモチベーションだ
スマホの次は空間になると断言する落合氏
日本の未来を見据え、物事の本質をとらえる
若き世代の貴重なメディアアーティスト、科学者として
今からも注目していきたい人物である。